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ライフスタイルジャーナリスト、東ミチヨ

奥出雲、たたらの炎

出雲と聞いて思い出すのは
縁結び?
いえそれだけじゃありません
奥出雲には、伝説の炎が
いまも受け継がれています。

 それが“たたら製鉄”。

奥出雲でスタートする、ある
ものづくりプロジェクトがご縁で
たたら製鉄の儀式を
見学させて頂きました。

たたら製鉄とは、千年の歴史をもつ
昔ながらの製鉄技術で、
砂鉄を炉で三日三晩、燃やし続け
玉鋼という、刀剣の原料となる
鉄の塊をつくる作業。

すべて手作業で行われ、
炎の現場は昔ながらの
土の炉を囲んだ
神聖な空気の中行われます。

現場を訪れると、
ふいごで空気を送る
ふぉー、ふぉー、という風音と
炎の立ち上がりが呼応して
まるで炎が生き物のように
ゾクゾクと感じられました。

三日三晩続いたあとの
3日目の朝、土壁の炉を壊して
流れ出た、真っ赤に燃える玉鋼の
うねうねとうごめく様は
赤い龍のごとし。

もしかしたら神話が生まれた時代から
刀剣のもととなる鋼には
何かただならぬ魂が
宿っていたんじゃ・・・?

たたら製鉄の現場を見て、
なるほど刀剣に命を吹き込むとは、
こうした自然と人との営みがあってこそ、
成し遂げられるものなのだ、と
大いに感動したのでした。

今は日刀保たたらと呼ばれ、
刀剣保存のために技が継承されています。

近代の製鉄業によって廃れたこの場所も、
戦時中は兵士の意気高揚を願い
軍刀の鋼が造られていたそうです。
当時は「靖国たたら」と呼ばれていました。
戦時中の創業があったからこそ、
現在まで技が残ってきたとのことでした。

 

国生みの島へ

古事記の国生み伝説が残る島、
淡路島へ。

ごはんプロジェクトで
お世話になっている工場へ
打ち合わせに行きました。

鳴門海峡の渦潮

しかし打ち合わせのはずが、
なぜか地域のイベント手伝いやら
みんなでハイキングやら、
めまぐるしい2日間。

「私、ナニしに来たんだっけ?」
と「?」が飛び交いながらも
地元の方たちとの交流を楽しみました。

かつて御食国と呼ばれた
朝廷への食の貢進国だけあって
魚介、野菜、おいしい食の宝庫の
淡路島。

しかし町おこしは、まだまだこれから。
地元の人たちが知恵を出し合い
動きはじめている場に
慌ただしくも、参加できました。

ちょっと意外だったのは、
淡路島ではよそ者も、
地元の人と同じような
距離感で迎えてくれること。
この感覚は沖縄にも近いかもしれない。

かつて海人族が栄えたという
古来の歴史も
関係しているのでしょうか。
島外からの来訪者への
非常にオープンな感覚は
日本の山間部なんかと比べても
違うなぁ、
と思いながら楽しみました。

そして、ごはんプロジェクトも、
春の完成が楽しみです!

 

Kanpai! New year!

あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。

昨年末、素敵な映画に出会いました。
『カンパイ! 世界が恋する日本酒』
というドキュメンタリー映画。

小泉進次郎さんらが中心となって
自民党本部で開かれた
特別試写会&利き酒会に
私も縁あって参加しました。
(日本酒ナビゲーター資格のお陰かな?)

日本の酒蔵で伝統に挑戦する
イギリス人杜氏や
日本だけでなく海外へも
日本酒の魅力を広げようと
奮闘する岩手の蔵元など、

それぞれ個性的な彼らを
追いかける映画は
単にお酒の蘊蓄だけじゃなく
「夢はいつかかなうもの」
という人間ドラマがあって
共感しました。

とくに心に残った言葉は、
「杜氏はいつも一年生、
名人になってもそう思えることが
新たな挑戦と、改善を生み出す」
だから自分も常に、一年生の
気持ちを忘れないという
南部美人の蔵元、久慈さんの言葉。

私も今年は、初心を思い出して
地道な努力と挑戦を重ねて
いかなくちゃ、と
清々しい心で新年を迎えた次第。

日本酒で、新年にカンパイ!

富士山登頂記念の浅間神社本宮の盃♪

 

いただきます-food edu.

食べることは命を育むこと。
食育の現場を通して、
食の大切さを実感できる
映画『いただきます』の
親子上映会&みそ作りワークショップを
11月20日開催しました。

福岡にある高取保育園は
昔ながらの和食給食を実施していて
映画では、小さな子どもも
納豆、ひじき、みそ汁を
うっまい!もぐもぐと
おいしそうに食べていて
こちらまで食べたくなってしまうほど。

映画『いただきます』より
映画『いただきます』より

itadakimasu_babyseatトークセッションでは
VIN監督といろいろお話しましたが
「映画のためにおいしい顔
してるわけじゃなく、
これは天然のおいしい顔。
子どもたちはみんな残さず完食します」
とのこと。
保育園の園庭にある丘で、
思いっきり遊ぶ子どもたちは
お昼にはお腹がぺこぺこで
おいしく食べられるんだそう。

右はVIN監督
右はVIN監督

都会の保育園では子どもが走り回る
環境もなかなか難しいけれど、
ここは地域の人たちが一緒に、
子育ての環境を守ってきたから
きちんと自然が残されている、
そんな話を聞いて共感しました。

また今回は、ウーマンエキサイトの
「WEラブ赤ちゃん 泣いてもいいよ」
プロジェクトに賛同し、
お母さんたちが赤ちゃんと一緒に
鑑賞できるようゴザ席も用意しました。
映画とリンクして赤ちゃんのリアルな
泣き声が響く会場は、
とても温かなムードに包まれ
参加者も「子育てのために協力したい」
とみんなの気づき、交流も生まれました。

リラックスした雰囲気の中、
赤ちゃん連れのお母さん、
働く女性保育士さん、
おばあちゃんなどさまざまな方々がご参加。
皆さん、自分なりの発見、
気づきを得てイベントを楽しんでくださいました。

映画上映会のあとは、
みそ作りワークショップを開催。
参加者全員が「みそ作りは初めて」
という方ばかりでしたが
みそ作りは、意外とカンタン。
「おいしくなーれ!」と
気持ちをこめながら、
ぺったん、ぺったん、
みそ玉を作っていきました。

 

miso-works

アンケートで頂いた皆さんの感想にも感激です。

「0才の子どもが食事の時に指差して“これ食べたいよ”と伝えている姿を見て、私まで嬉しくなりました。食べることは生きること、というのはよく聞きますが、食事が子どもたちを育んでいると実感できる映画でした」(保育園 副園長)

「日本人で良かった〜と思いました。日本の食を受け継いでいくことの大切さ、もっともっと純粋に命、食について考えていかなければと思いました」(保育士)

「わが家でも和食を中心にした食生活をしていますが、まだまだ足りないと思いました。保育園は一日の大半を過ごす場所なので、映画の高取保育園はとてもうらやましい環境です。自分なりに工夫していきたいです」(OL)

「全部、美味しかった! 家庭の和食力を強めるために、この映画はパパ、ママ、ジジ、ババ、みんなで観るようになればとても良いと思います」(自由業)

「横で赤ちゃんの声がする中で、この映画を観ていると、子どもの未来のためにベストのことをしてあげなくちゃ!という気持ちになりました」(保育士)

「こんなに心地よい映画、人に出会える集い、人生ってなかなかいいなぁって感じです。育児に関しては、まずは自分から変わることだ! と思いました」(主婦)

「自分の食生活との差にびっくりしました。普段和食をあまり食べないので、今後少しでも取り入れられるように試していきたいです」(OL)

「家族4人で久々に映画を観れました。夫が食事の大切さを映画で感じてくれたことも嬉しかったです」(OL)

「子どもの時に本物の味覚を知っていれば、大人になってもごはんとみそ汁に戻ってくると思うので、もっと子どもたちに食生活の大切さを伝えたい」(OL)

—–こうした皆さんの感想が聞けたことは、私たちにとっても大きな収穫です。ご参加の皆様、ありがとうございました!

映画『いただきます』親子上映会&みそ作りワークショップ

開催日:2016年11月20日

会場:吉野町市民プラザ

映画いただきます HP  http://itadakimasu-miso.jp

Back to the College,

秋から大学の勉強、も、はじめました。
慶應義塾大学 法学部。
もともと学生時代に
短期大学で勉強していたけれど、
短大の2年では学びきれなかったことを、
ちゃんと学びたいと思って奮起、
通信過程に編入しました。

でも通信って、独学なだけに
果たして無事卒業できるのか?

仕事も、ソーシャル活動も、
続けながらの学問ですので
けっこう大変かもしれません。

でも先日はじめてキャンパスに行き
お宝が眠る場所を発見し
がぜん、好奇心がわいてきました。

そこは旧図書館の地下室。

keiko_oldlibrary日本や海外の歴史がそのまんま残る
古書がずらり眠っており、
学生は自由に閲覧できるのです。

先人たちが遺した、過去の未来図、
茶色く焼けたページを
暗がりの地下室でめくっていくたび、
現代の生き方、あり方が
「それでよいのか?」と
問われている気がして
背筋がスッと伸びるようでした。

よいのか?

Local foods & rice

毎朝、ごはん食べていますか?
朝は忙しいのでパン食という人も
多いかもしれませんが、
私はやっぱりもっとみんなに
お米のごはんを食べて欲しいなと
思ってまして。

日頃、パン食ですましている
若い人、忙しい女性にも
もっとごはんを食べてもらうための
Local foods&riceプロジェクトを
ただいま準備中です。

横浜市内にも、まだまだ田んぼは
残っていて、お米農家さんも頑張っています。
そんな方たちの協力を得ながら
お米の6次加工化の取組み。
横浜市の地産地消ビジネス支援ではじめます。

これまでローフットフードの活動で提唱してきた
地産地消、エコ調理の考えを盛り込んだ
おいしい、カンタンご飯を
スマート・ウィメンズ・コミュニティの
女性メンバーと一緒に開発中です。

先日は、田奈で長年稲作を続ける
農家さんのところへ。
以前、横浜市の広報紙取材で
お会いして以来、お米を分けて
頂いているのですが、
新米、本当に美味しかった!

プロジェクトの詳細は
また後日、お知らせします〜。
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Fish ‘n sustainable

持続可能な魚食を考える、SH”U”Nプロジェクト

お魚、ちゃんと食べていますか?
先日、国立水産研究・教育機構主催の
SH”U”Nプロジェクト
外部レビュー委員会が開催され
私も委員として参加しました。

このプロジェクトは、
いってみれば日本版MSC認証、
(Marine Stewardship Council)
みたいなもので
日本独自のお魚のエコラベル評価を
考えましょうということからスタート。

sakana1現在、魚種ごとに資源の状態、
生態系・環境への配慮、
漁業の管理、地域の持続性、
健康と安全・安心などさまざまな角度から
データ収集と評価が進められています。

こうしたプロジェクトの背景には
2020年のオリンピックに向けて
環境に配慮した水産資源を考えることや
「日本は魚を穫り過ぎている」などという
海外からの批判にもきちんと答えられるよう
公正かつ客観的な調査を進める
目的もあります。

いま世界では、水産資源の約3割が
過剰に漁獲されている状態にあるそうで(FAO2016)
持続可能な開発目標(SDGs)でも
海洋生物資源の持続可能な利用が記されています。
今後はこの3割の資源を適切に管理し回復させ、
また残りの7割についても
持続可能な漁業開発を続けることが大切です。

shunpro1 さて、委員会では私は消費者の立場から
本プロジェクトの意義について問い、
点数評価が消費者、漁業者に
及ぼす影響や有効性を確認しました。

果たして点数でどこまで伝わる??
というのも今後検証が必要です。

また今年はサンマの減少が話題となりましたが
水産資源の変動には、漁業だけでなく
温暖化による水温上昇、
公海における他国籍漁船の影響など
さまざまな要因があります。
そうした評価は考慮されていないことも
気になり意見しました。

印象に残ったのは、研究者の仮説です。
「国際的な環境フォーラムでは、
日本は世界中の水産物を集め、
遠洋漁業を行い、どん欲に水産物を利用しているので
日本沿岸の生態系は荒れ果て、
乱れているというイメージを持たれることがあるが
実際に日本に来ると津々浦々に漁協があって
海がきれいな環境に驚かれることが多い。
日本沿岸の環境というのは、
荒れ果てた乱獲の状況にはない、というのが
一つの作業仮説。
本プロジェクトをきっかけに
データを集め検証し、
必要なところは改善していきたい」

との意見に私はとても共感しました。

水産、漁業の専門家の皆さんが
居並ぶ委員会ですが
私は消費者目線、環境目線で
今後も参加したいと思います。

里海という言葉があるように、
私たちは海を身近に感じながら
暮らしてきた歴史があります。
ちゃんと人の手が加わることで
自然と共存し、海の資源を守っていける、
そういうつながりを取り戻す
きっかけにもなれば、と願います。

 

 

ITADAKI-MASU

夏休みの終わりに、
山梨県道志村の養老の森で
「命をいただくということ
猟師さんと歩く森学」を開催。

deer_hunting

水資源保全協議会主催の
このイベントは、
都市と里山をつなぐことをテーマに
横浜市民の水源の森、道志村を
もっと楽しもうというところから
生まれたもの。

私は食育担当として協力し
猟師さんのおすそ分けの
鹿肉カレーを食べて
森で、猟師さんから
森と動物の話を聞こうという
プログラムを企画しました。

この日は養老孟司氏の
講演もあったせいか、
台風前日の荒天にも関わらず
大勢の親子が参加!

deer2でも、なぜ鹿肉?
かといえば、いま日本の森では
鹿が増えすぎて森や畑が荒廃する
ということが起きています。

「昔は、この辺は雪深くて
鹿もそれほど多くなかった。
でも温暖化のせいか温かくなって、
冬を越せるようになったかもしれねぇな」

地元の猟師さんが教えてくれました。
また全国で猟師人口が激減したり
植生が変化したのも理由のようです。

でも、もともと森は動物たちのすみか、
害獣って呼ぶのはどうかな?
と、ふつふつしていると

「昔から、鹿は山の神様の分け前
っていって感謝の儀式があるさぁ」
と猟師さん。

普段、私たちは機械化された
スーパーの肉を食べ、
いつのまにかそういう
「自然への感謝」を
忘れている気がします。
昔の日本人は、里山暮らしをしながら
狩りをし、自然と共存してきたわけです。

「命をいただく」って何だろう?

その意義を考えていた時に
ある言葉に出会いました。

故宿人身
同証仏果

命尽きた生き物はそれが因縁ゆえ、
(食べられて)人間の身になることで、
人と同化し成仏することができる・・・
という意味の諏訪大社の勘文。

諏訪大社では、狩猟神にあやかって
鹿肉を食べる免罪符を発行していたそうで
そこにこの言葉が書かれているそうな。

また、鹿肉は牛、豚肉に比べても
鉄分、たんぱく質が多く
まさに私たちの血、肉となる食べ物。

そんな話をあれこれしながら
みんなで頂いた鹿肉カレーは、
格別の美味しさでした!

そして思いのほか、子どもたちの
理解力がしっかりしていて
「うん、わかる!」的な反応。
森好きの子どもたちは、頼もしい〜。
また参加者からは
「若い人も、もっと森で猟をしたいと
思うようになれば森の保全に役立つよね」
「鹿肉、意外と柔らかくて美味しい」
などの意見も頂き、うれしい一日でした♡

 

 

 

 

 

Sky of EDO

日本橋をあちこち取材、
なかでも感激したのは
橋のたもとの船着場から
日本橋川〜隅田川〜東京湾へと
船でゆく日本橋クルーズ。

中央大橋
中央大橋

いくつも橋をくぐっていくうち
ビルの向こうにも
北斎が、広重が・・・、
絵に描いた賑わいが浮かぶよな、
浮世のいまむかしの
想像の旅が楽しめます。

「日本橋川が蛇行する角度は、
江戸城と富士山が
きれいに見える配慮だった」
「昔は川沿いに魚河岸が並んでた」、
なんてガイドさんの話をきくと
頭の中で浮世絵が風景と重なって。

Nihonbashi
川から眺めた日本橋

nihonbashi_hiroshige けれども残念なのは、
橋の下から眺めたときに
空が見えないこと。
あの浮世絵ブルーはどこに?

首都高に挟まれて、
橋の上の麒麟も
なんだか飛べそうにない。

東京オリンピック前に
都市改造でドンと造られた
首都高は江戸東京のシンボルを
無惨にも縮こまらせています。

日本橋保存会では、
日本橋の空を取り戻すために
いろいろ活動しているそうです。

Kirin
日本橋の麒麟像

今度の東京オリンピックには
間に合いそうもないけれど
いつか、江戸東京の守護、
麒麟や獅子さんたちが、
のびのび空を見上げられる日が
くることを願いたいものです。

日本橋クルーズのコラムは
GQ9月号 別冊時計ガイドの
日本橋ガイドに掲載。

OKINAWA told me・・・

先日、沖縄取材のついでに、
ぶらり沖縄散歩。久高島へ。

久高島では、ぐるっと聖地巡り。
神様のすむ島として
先祖代々守られてきた島には
手つかずの自然が残っていて、
森へ入ると、
むぅっと植物の呼吸が
感じられるような
濃い空気に包まれます。

kudaka_island 久高島には、
土地は誰かのものじゃなく、
神様のものという考えから、
個人所有を認めず
「総有」という
独自の憲章が守られているそうです。

おかげで開発されることなく
自然が守られてきたわけです。

kudaka sea私たちはつい、自然を
コントロールしようと
してしまいがちだけれど
実は自然は誰のものでもない
ということを忘れてはいけないですね。

けれども沖縄のちょっと先の
尖閣諸島では、隣の国が
けんかをふっかけている。

自然破壊が進んだ、かの国は
心まで破壊されているのか。

豊かな国のつくり方。

私たちの祖先から続くDNAに
刻まれた大切なことを忘れずに、
この自然、この国を
守りたいものです。

太陽と龍@斎場御嶽

太陽を見上げたら龍がいた。