奥出雲、たたらの炎

出雲と聞いて思い出すのは
縁結び?
いえそれだけじゃありません
奥出雲には、伝説の炎が
いまも受け継がれています。

 それが“たたら製鉄”。

奥出雲でスタートする、ある
ものづくりプロジェクトがご縁で
たたら製鉄の儀式を
見学させて頂きました。

たたら製鉄とは、千年の歴史をもつ
昔ながらの製鉄技術で、
砂鉄を炉で三日三晩、燃やし続け
玉鋼という、刀剣の原料となる
鉄の塊をつくる作業。

すべて手作業で行われ、
炎の現場は昔ながらの
土の炉を囲んだ
神聖な空気の中行われます。

現場を訪れると、
ふいごで空気を送る
ふぉー、ふぉー、という風音と
炎の立ち上がりが呼応して
まるで炎が生き物のように
ゾクゾクと感じられました。

三日三晩続いたあとの
3日目の朝、土壁の炉を壊して
流れ出た、真っ赤に燃える玉鋼の
うねうねとうごめく様は
赤い龍のごとし。

もしかしたら神話が生まれた時代から
刀剣のもととなる鋼には
何かただならぬ魂が
宿っていたんじゃ・・・?

たたら製鉄の現場を見て、
なるほど刀剣に命を吹き込むとは、
こうした自然と人との営みがあってこそ、
成し遂げられるものなのだ、と
大いに感動したのでした。

今は日刀保たたらと呼ばれ、
刀剣保存のために技が継承されています。

近代の製鉄業によって廃れたこの場所も、
戦時中は兵士の意気高揚を願い
軍刀の鋼が造られていたそうです。
当時は「靖国たたら」と呼ばれていました。
戦時中の創業があったからこそ、
現在まで技が残ってきたとのことでした。

 

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