歌舞伎、継承するこころ。

先日、中村勘三郎さん死去の報をきいて

思い出したのは、息子の六代目勘九郎さんのお話。

ちょうど9月に、対談の取材をしたばかりだった。

Kankurou Nakamura in GOETHE

ボッテガ・ヴェネタのタイアップで、

「継承する美と技」について、

美しい所作とは何か? 技を受け継ぐとはどういうことか?

を今年6代目に就任した勘九郎さんに尋ねた。

その時、印象的だったのは

「真の美しさとは、表には見えないもの。

舞台のお客さんたちには見せずに、

足さばき一つにしても、

着物の内側で血の滲むような葛藤をして作られる。

もがいて、苦しんでいるその姿こそ、美しいと思う」

そしてもがいて、もがいて、芸を磨いて

やっとつかめてきたと思ったときには、

すでに身体が思うように動かない年齢になっている。

皮肉なものだ・・・・というような話を聞いたとき、

歌舞伎の舞台裏にある、

人生をのぞかせて頂いたような気がした。

曽祖父の尾上菊五郎さんは

「まだ足りぬ、踊り踊りてあの世まで」

という辞世の句を残したという。

 

その時は、お父様の容態など一言も口にされなかったけれど

きっと家族として覚悟はされていたんでしょう。

おそらく、表には見せない壮絶な役者人生を

いつも家族として間近に見てきた勘九郎さんは、

歌舞伎の“こころ”を受け継ぐ覚悟をされていたんだと思う。

勘三郎さんのご冥福をお祈りしつつ、

勘九郎さんのご活躍をお祈り申し上げます。

 

※中村勘九郎×ボッテガ・ヴェネタ

「継承する美と技」は、ゲーテ12月号掲載


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